家族の許しを得て20歳の時留学時代の大親友に会いに栃木に行き、
母親として普通味わうことのできない子供抜きでの二日間の旅を経てやっと昨日18日、
京都に帰郷しました。

ご来廊頂きました皆様に一番に御礼のブログがアップができてない失礼を
お許し下さい。

 截金を初めて19年の道のりでした。大学3年生の頃から子供が出来るまで毎年個展をして
まいりました。そのうち截金の腕もどんどん上達し、作品の密度が濃くなることから一年で
創り貯めることが出来なくなり、二年に一度の個展となりました。妊娠しても産休などなく、
作品を創り貯めること、外国人自営業旦那様と宮絵師という素晴らし仕事に忙しい親、
家族全員がお互いを誰よりも応援しながら助け合いのできない環境での制作活動と子育ての始まりでした。
二人目を産んで3カ月で始まった東京パレスホテルの作品3メートルの大作、
八ヶ月の保育園待機児童と共に創りあげた大作、
昔ボロカスに批評された祇園小西さんでの2012年二回目の個展では、
ボロカスに批評されたお偉いおじさま達から頂いたお褒めの言葉。
初めて自分の作品に自信がついたのはその時の二年前でした。

”もしかしたら私この世界でいけるかもしれん。”

そして今回のなんと驚きの六年振りの東京新宿伊勢丹。
自信を持った私でしたが不安で不安で押しつぶされそうになる思いで迎えた個展となりました。
大人になったのか、何か見えないプレッシャーがあるのか、個展をさせていただく責任と
戦いに募る大きな不安は個展前日五時に起きて京都から東京入り、搬入をしてクタクタになって帰った
ホテルでも緊張が続き、たった二時間しか寝れず迎えた初日となりました。

オープン10時半、「わ~!お久しぶりですーーーー!!!!!!!」
続々来て下さる昔からお馴染みのお客様。初日から作品が沢山お嫁に行きました。
伊勢丹のある社員の方が、「普通六年も空いたらお客様は帰ってきません。余程
皆様に愛されてると思います。」
嬉しかったです。本当に本当に嬉しく、そんな心から安心した、皆さまに支えられた初日の始まり。
沢山の目には見えない愛を頂いて個展は無事終了致しました。

間にあったトークイベントは・・・・。
あれはなくても良かったでございますね。

終わってみて今思うことは、

”やりきった”という思いです。

自分の中で完結してしまいました。
截金を初めて19年、個展をし続けて16年ほどでしょうか。
皆様に家に飾って頂ける小さな小物作品を数え切れないほど創り、
数えきれないほどをお嫁にやりました。

それで今回完全に気持ちが完結してしまいました。
それらをまた創り、個展をまたしたいという気持ちが。

一瞬”引退”という言葉がよぎるほどでしたが、
截金に対してはまだまだやり続けたい気持ちはあります。
作品も創りたい。
しかし小物作品はもうこれでいいかな、と思ってしまいました。
これが今の正直な気持ちです。

ですので今までずっと2年先、3年先と個展が埋まっており、
それらの作品を創ることに時間に追われ、本当に追われ、
子供が出来てからは異常な生活の始まりでしたがそれでも
沢山の方がお求めくださることの喜びに支えられ続けてまいりました。
そういう方々がいなければとっくに辞めていた截金人生。

今後は大きな大作を創りたいと今は思っております。
また新たに小物作品を創りたいと思う日も来るかもしれませんが、
当面はレストランやホテルなどに飾って貰えるサイズの作品。
また国際アートコンペティションなどに出しても行きたいと
思っております。
今からの10年は大作を創り、そしてその自分がどのような新たな
截金人生になるか全く今は見えるものがありませんが、
皆様のお家に飾って頂いた17年を経て、
今後は新たなお嫁の居場所に巡り会う旅に出たいと思います。

そこは皆様が住まれる”家”ではなく、

皆様がお食事に行かれる空間、

もしくは泊りに行かれる空間、

もしくは手に取って頂くのは何かのパッケージになるような
デザイン化されたもの。

今はそんなお呼びなど全くありませんが、自分で動いて行こうと思っております。
動いた先にチャンスに巡り会うかなど分かりません。
しかし必ずや人生の糧になると信じております。
ですので、今回の個展を最後に暫くは修行に入ります。
もしまた個展をする機会を得ましたら、小作品ではなく、大物作品オンリーで
行きたいと思っております。
そのような会場に巡り会えるかも全てが何処からも今はおよびがなく、
ゼロの状態です。実を言いますと、今回自分がしたい品川にある美術館に
作品を一度見て欲しいと手紙を書いての個展の始まりでした。
結果なんのお返事もきません。
皆様に作品をお求めして頂いて天にも舞い上がる嬉しさと、
美術館には相手にもされない現実との葛藤に生きております。
19年続けて参りました道に一度終止符をうち、
また新たにゼロからスタートさせて頂きたく、この度このような決断を
致しました。

ご来場いただいた皆様、そしてお求め頂いた皆様
本当にありがとうございました。
暫くのお別れでありますが、
何かありましたらいつでもラブレターならぬ
ラブメールはここから送信頂けますので
これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

いつの日かまたお会いできる日を楽しみに
一生懸命がんばります。

ホンマおおきに。本当に今までありがとうございました。

             大きな大きな感謝の気持ちを込めて

                       38歳 安川 幸聖理

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自宅に帰った母の第一声、

 「もう限界。」

そりゃそやな。ほんまありがとう。
家族全員に美味しいものをご馳走しに行って参ります。

今日からの連休三日間作家安川幸聖理は
ただの関西のおばちゃんに戻ります。

じゃあね、ホンマに皆様が大好きや!
だから必ずまた会いたい!
ありがとう!

がんばる!